技術記事

・FRPポンプのメカニカルシールから液漏れが起きる3つの原因と対策

耐食性に優れたFRPポンプですが、現場トラブルで最も多いのが「メカニカルシールからの液漏れ」です。金属製ポンプとは異なり、FRP特有の材質特性(しなり、熱膨張など)を考慮しないと、シールを新品に交換してもすぐに再発します。本記事では、現場で発生する3つの原因と確実な対策を解説します。

原因①:配管応力(荷重・熱伸縮)による軸芯の微小なズレ

FRPは金属に比べて弾性係数が低いため、接続された配管の重みや熱伸縮による押し込み(配管応力)の影響を受けやすい性質があります。配管がポンプを無理に押していると、ケーシングやブラケットが微小に歪み、メカニカルシールの摺動面が偏摩耗して液漏れを起こします。

対策: ポンプの吸込・吐出ラインに必ず「フレキシブルジョイント(テフロンベローズ等)」を設置し、配管サポートで自重を完全に逃がしてください。ポンプ単 体に負荷がかかっていない状態を作ることが最優先です。

原因②:化学薬品の結晶化・スラリーの噛み込み

次亜塩素酸ソーダや水酸化ナトリウムなどの移送において、液が停止した際に摺動面付近で薬品が結晶化したり、微細なスラリーがシール面に噛み込んだりすることで、密着面が傷つきリークが発生します。

対策: 摺動面の材質を「SiC(炭化ケイ素)× SiC」などの超硬質材料へ変更してください。

・スラリー混入液でFRPポンプのインペラが摩耗した際の補修・交換

化学廃液やスラリー(固体粒子)が混入した流体をFRPポンプで移送する場合、インペラ(羽根車)やケーシングの内壁は常に物理的な摩耗に晒されます。FRPポンプの性能を維持し、突然の全損トラブルを防ぐための「補修」と「交換」の具体的な境界線(基準)を解説します。

① 日常・定期点検でのチェック項目

電流値と吐出圧力の低下: 回転数が同じなのに、徐々に圧力や流量が落ち、モーター電流値が下がってきた場合は、インペラの羽根が摩耗して外径が小さくなっている(またはブレードが薄くなっている)サインです。

振動・異音の発生: 摩耗が不均一に進むと、インペラの動バランス(バランスウェイト)が崩れ、軸受やシールを破壊する異常振動を引き起こします。

② 補修・交換について

インペラの補修・交換: インペラを部分的に補修することは可能であるが、時間が経過し酸などの移送液がFRP内部へ浸透し、FRP積層で補修しても新製品時のような接着力が期待できず運転中に剥離し運転トラブルになる可能性があります。また、補修するにも実際には手間がかかりコストとリスクを考慮すると新規インペラの交換を推奨します。

・配管応力によるケーシングのひび割れ・変形

FRPは引張強度には優れていますが、局所的な「ねじれ」や「曲げ」の力に対しては金属よりもデリケートです。

原因:自重や熱膨張による配管の重み・歪み

 自重や熱膨張による配管の重み・歪みが、そのままポンプの接続部に負荷(配管応力)としてかかっているため。フランジ接続部やケーシング(本体)に微細なクラック(ひび割れ)が入り、薬液がにじみ出てくる。

対策

 ・配管サポートの徹底: ポンプのフランジ部に配管の重さがかからないよう、直近の配管をサポート(架台)で完全に固定する。

 ・フレキシブル継手の挿入: ポンプの吸込・吐出側に熱膨張や振動を吸収する伸縮管継手(テフロン製フレキシブルジョイントなど)を設置する。

・ボルト締付の過トルクによるフランジ破損

金属製ポンプの感覚でボルトを締め付けると、FRPポンプは簡単に壊れてしまいます。

配管接続時、またはメンテナンス後の組み立て時に、フランジ部に亀裂が入る、あるいは割れてしまう。

原因:不均一な応力集中

 フランジ接続部のボルトの締め過ぎ(過トルク)。また、相手側(配管側)のフランジとの面が傾いた状態で無理に締め付けたことによる、不均一な応力の集中。

対策

 ・トルク管理の徹底: メーカーが指定する「推奨締付トルク」を必ず遵守し、トルクレンチを用いて対角線順に少しずつ締め付ける。

 ・適切なガスケット(パッキン)の選定: 硬いガスケットではなく、比較的低い締付力でも密閉性が得られる柔らかいガスケット軟質ゴム製のガスケットを使用する。耐食的にゴムでは持たないようであれば、テフロン包みガスケット(芯材ゴム製)などを採用する。

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